日々ご葬儀をお手伝いしておりますと、よく故人様のお好きだった飲み物について耳にします。
「コーヒーが好きで、毎朝必ず飲んでいました。」
「よく晩酌をしていて、焼酎を飲まないと寝られないと言っていました。」
「ビールをよく飲んでいた覚えがあります。」
なんてお話をお聞かせいただきます。
ご遺族様のお気持ちとしては、故人様の好きだった飲み物をお棺に入れたいと思います。
しかし、火葬の都合で入れられないことが多々ございます。
そんなときによくご案内するのは、『末期のお水』の代わりに、お好きな飲み物をご準備するというものです。
『末期のお水』とは、亡くなられた方のお口に水を含ませる儀式のことをいいます。
「彼の地へ旅立った後、飢えや渇きに苦しまないように」というご遺族様の想いが込められているとの説もあるそうです。
実際に行われたときの様子をご紹介いたします。
お好きだった飲み物をご準備し、ご遺族様のお手により、グラスに飲み物を注いでいただきます。
そして、末期用の綿棒に飲み物を浸していただき、故人様のお口へ運んでいただきます。
「おじいちゃん、ビールだよ。たくさん飲んでね。」
「ずっと我慢していたビールだよ。嬉しいね。」
末期の儀式を行いながら、このように故人様へお声をかけられる方もいらっしゃいます。
ご病気で好きなものを制限されていた方は、息を引き取るまでお好きなものを口にできないままの場合がほとんどです。
そのような故人様のご遺族様には、この儀式を行うことで特に喜んでいただけるように感じます。
大切な故人様を送る儀式の一つとして、本日は、末期の儀式についてご紹介いたしました。
これからも故人様やご遺族様に合わせたご葬儀をつくりあげられるよう、努めてまいります。
平安会館 文十鳳凰殿
担当 登地 夏生
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