愛知県西尾市にございます【文十鳳凰殿 西尾中央斎場】にて〈厳しくもたっぷりの愛情をもって育ててくださったお父様〉の通夜・葬儀をお手伝いいたしました。
ご生前、お父様はこうおっしゃっていたそうです。
「自分の葬儀の時には、最後に皆で一杯やってくれな。」
しかし、時代はコロナ禍…。皆でお酒を酌み交わすのは難しい状況でした。お父様の最後の願いを少しでも叶えたいと思った私は、考えました。
「皆で一緒に飲むことはできないけれど、せめて、ご自宅で故人様を偲んでお酒を味わっていただけたら…。」
そこで、弔問御礼のお品に缶ビールを1本ずつ付けて、ご参列の皆様へお配りすることにいたしました。
また、お父様は〈ギター〉をご趣味とされていました。
エレキギターやフォークギターを4本もお持ちで、本格的な機械も備え、ご自宅をスタジオのようにして楽しんでいらしたといいます。
そんな故人様をお送りするご祭壇には、愛用のギターを飾らせていただきました。
迎えた葬儀当日。昨晩から降り積もった雪で、真っ白な景色が辺り一面に広がっていました。
ご遺族様は凍える肩を一層震わせ、無事に到着できるだろうかと、式場へお越しになる予定の方々を心配されていらっしゃいました。
お式は、お父様への感謝を込めた、〈献灯の儀〉より執り行われました。
ご長男様に灯していただいた火をお預かりし、そちらをご祭壇のろうそくへ灯しました。ご長男様はちょっぴり緊張されながらも、お父様への想いを込め、お灯しくださいました。
お式が進むにつれ、式場内は、故人様とのお別れが近づくことに寂しい気持ちでいっぱいのように感じられました…。
お花を手向けていただくお時間には、ご案内なくとも自然と、お柩の周りに人だかりができました。
ご生前、お茶仲間から始まったご縁を大切にされていらした、故人様。たくさんの想い出を一緒に残してきたご友人方も、別れを惜しんでいらっしゃいました。あふれる涙と共に、たくさんの想いを故人様へ届けていらっしゃいました。
お花を手向けた後には、お父様には欠かせない〈ビール〉です。ご遺族様のお手にて、お父様のお口へビールを運んでいただきました。
そして、お柩のおふたを閉じる直前でした。
お子様方が幼い頃、毎年夏に行ったという〈長島スパーランド〉。そちらの特別チケットを私共でお作りさせていただき、ご遺族様にお見せしました。
それは、厳しかったとお伺いしたお父様との、楽しかった想い出でした…。まずはジャンボ海水プールへ入り、宴会場で食事をとってからは温泉で癒され、そこから遊園地へ向かったそうです。そのときを想い出されたのか、それまで明るくふるまっていらしたご長男様も、チケットの登場に瞳を潤ませていらっしゃいました。
「いつかまた…、一緒に行こうな。」
そう願いを込めたチケットは、ご長男様のお手で、お父様へ届けられました。
お父様との大切な想い出、〈長島スパーランド〉。その毎年の恒例行事を、これからはご自身のお子様と楽しんでいただき、お父様との想い出を次世代へ繋いでいただけたらと存じます。
大切なご縁をいただき、本当にありがとうございました。
文十鳳凰殿 西尾中央斎場
担当 榊原 裕子
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